前エントリーを書いて、メディア企業についてもっといろいろ
書きたくなってしまったので、つらつらと書いてみる。
●メディア企業が変化することとしないことの意味
一般的に変わらなきゃいけないときには、早めに変わった方が痛みが少ない。
(瞬間的な変化ではなく、地殻変動的な変化の場合)
例えば時代の流れに見るM&Aでは、早めにやる企業が有利。
これは優良企業を選別できるため。遅れると余り物しか残っていない。
でもやらないと規模の経済、コスト面で他社に立ち行かなくなるから
やるしかない。
病気も早期発見、早期治療が一番。痛いのに病院に行くのを嫌がったり
酒でごまかしてたりすると、より痛い目にあう。
メディア企業も、今後のことを考えるとより早く変わった方が勝つし、
痛みも少ない。新しい産業の足をひっぱる努力をしてもそんなの無駄で、
多少の遅れはあっても地殻変動は止まることはない。
そもそも変化は国内からだけでなく、海外からもやってくる。
しかし、決断するトップや権限を持つ人たちは、50,60歳の人が多く、
ネットを使いこなせていないため、ネットの持つ意味を過小評価している。
(もちろん使いこなしている人もいるが、その割合は少ない)
もしくは、変わらなきゃいけないと思っていても、10年後の日本の
未来よりも1,2年度の会社の業績、自分の立場の方が大事。
そもそも10年後には引退しているので、ネットを脅威を他人事に感じている
ふしもある。メディア企業の中でもっとも痛い目を見るのは、
現在下っ端としてこきつかわれている40代以下の世代だろう。目の前の
ニンジン目指してこれまで頑張ってきたのにいざその時がきたら、
リストラや倒産の現実が待っている。
できる社員はネットメディア企業や他企業への転職を考えているだろう。
そして優良社員がいなくなり、更に既存メディア企業は骨抜きになって、
顧客離れが進み、経営が悪化するというスパイラルに陥っていく。
佐々木俊尚氏がだした「2011年新聞・テレビ消滅」という本にもあったが
オールドメディアにとってはより厳しい時代が待っていそうだ。
●ネットメディア企業
ちなみに個人的におもしろいと思っている日本のメディア企業は
リクルート、サイバーエージェント、楽天、アットコスメ、クックパッド等。
リクルートは積極的に紙媒体から、ネット媒体へのシフトを進めているし、
サイバーエージェントはAmebaスタジオを原宿につくり、
楽天はリアル店舗へのコンサルティングの強化や、楽天銀行をつくってる。
特定分野では
アットコスメの新宿店や、コスメ情報を提供する端末の開発、
クックパッドの既存食品企業とのコラボレーションなどがおもしろい。
いずれにしろこれらの共通点は、ネットからリアルへの流れと、
ニッチ分野への特化だ。情報はネットとリアル分野関わらず総合的に
展開していく企業と特定分野に特化したニッチ企業へと2極化していく。
浅くて広いだけの企業は衰退していくのは間違いない。
話は少しずれるが、リクルートは、コンテンツ管理者の肩書を「編集者」
としている。他のネット企業がそのポジションの人を「webプロデューサー」
としているのと比べると、時代を見据えた意識というのはリクルートが
一歩リードしていると言える。
佐々木 俊尚
文藝春秋
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考えるヒントを与えてくれる本
パラダイムシフトは確実に起こる
イデオロギーの問題ではなく、ビジネスモデルの問題
マスメディア崩壊関連書籍の中で一番の出来。
ここ数年のうちにメディアの世界で何がおきるのか、じっくり考えてみたい